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事実状況診断と精神分析

事実状況診断と精神分析 (福田覚 訳 2007)
Tatbestandsdiagnostik und Psychoanalyse (1906)

 ウィーン大学の法学部教授A・レフラーの依頼によって、法学部学生を対象として行われた講義の記録である。全集では、長い脚注がたくさんついていて、その特殊な背景について説明している。
 ここで話題になっているのは、刑事裁判において被告がある事実を知りながら隠匿しているかどうかということを、心理学の連想試験という手続きによって判断できないかどうかという問題である。連想試験については、当時チューリヒのブロイラーとユングが研究をしていた。被験者は、与えられた刺激語に対して連想された語をなるべく早くに言わねばならない。その反応の時間や内容によって、刺激語が被験者のコンプレクスに触れているかどうかを判断することができるかもしれない。

 この講演の少し前に、フロイトとユングの書簡による交流がはじまった。講演ではユングらの研究を紹介しつつも、フロイト自身の失錯行為や症状行為についての研究、そして精神分析治療との関連について論じている。また、ここでフロイトとしてははじめて、「コンプレクス」という語を使用している。

 フロイトは、連想試験の研究のことは評価しつつも、それを司法に取り入れることについては慎重な意見を表明している。そのひとつの理由が、「神経症患者は、罪がなくても罪があるかのように反応します(9-194)」ということ。現実として罪を犯していないのに、心理的な罪責感のために罪を犯したかのような反応をすることがあれば、冤罪をつくりだす要因にもなりかねない。この指摘は連想試験だけでなく、被告の自白そのものの信頼性というより大きな問題にもつながってきそうだ。
2008.1.29

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

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