FC2ブログ

2018-11

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

分析技法の前史にむけて

分析技法の前史にむけて(須藤訓任 訳 2006)
Zur Vorgeschichte der analytischen Technik (1920)


 これはちょっと変わった文章である。解題によると、初出は国際分析雑誌第6巻第1号(1920年)で「F」というイニシャルつきで掲載されたとのこと。文章の中では、「教授(フロイトのこと)の語ったところによると」などと、第三者による報告のような体裁をとっている。イニシャルや内容からフロイト自身が書いていることは見え見えであり、現代なら「自作自演」などと非難されそうだが、当時はこのような表現のしかたがあったのだろうか。あるいは、他にも匿名で発表された文章があるのでこれがフロイト流なのか。

 内容は、ハヴロック・エリスの論文に表明された見解への反論である。しかし、最初の段落で「こうした見解には断固として反論しておきたい」と述べている割には、実はたいしたことはない。

 エリスの指摘は、J・J・ガース・ウィルキンソン博士の著作中に、フロイトの自由連想類似した技法についての叙述がみられるというものだ。
 この叙述が精神分析の技法の選択にあたって影響を及ぼしたことはない、と断言した上で、むしろその選択に個人的に影響を及ぼしたかもしれない別の作家を挙げている。
 それはルートヴィッヒ・ベルネのことで、フロイト教授は精神分析技法を先取りしたかのような彼の文章を以前に読んだ覚えはなかったが、同じ作家の別の文章は若い頃に愛読して長く記憶に残っているのだという。

したがって、多くの場合外見上の独創性の背後に推測されてよい、あの記憶隠匿の一つが、この指摘によってもひょっとして暴かれた可能性がなしとしない。(17-276)

 自分では独創的な考えと思っていることが実は誰かからの受け売りであって、そのことをすっかり忘れてしまっているということはありがちなことだ。
 フロイトがベルネの影響で自由連想を思いついたとしても、それをきちんと体系化して広めたのはやはりフロイトの功績だし、ベルネにしてもまた何かの影響を受けているに違いない。

H19.4.12

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://shigemoto.blog105.fc2.com/tb.php/180-f0e9c286
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

カウンター

カテゴリー

最新コメント

プロフィール

Author:重元 寛人
重元寛人です。本名は佐藤寛といいます。
フロイト全集の読解を再開いたします。よろしく。


facebookページ

リンク

フロイト研究会フロイト研究会

さとうメンタルクリニックさとうメンタルクリニック

クリニック開業への道のりクリニック開業への道のり


X-day

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。