2018-05

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神経症および精神病における現実喪失

神経症および精神病における現実喪失(本間直樹 訳 2007)
Der Realitätsverlust bei Neurose und Psychose (1924)


 少し前に書かれた「神経症と精神病」の内容を、修正しつつ発展させた論文である。前の論文の方が単純でわかりやすい図式であったような気もする。こういったモデルは、実際の物事を多かれ少なかれ単純化している故の不正確さはつきまとう。どの程度まで複雑にするかは、好みの問題もあるだろう。

 新しいモデルでは、神経症と精神病の成立過程をそれぞれ二段階にわけている。神経症の第一段階は、自我が現実に奉仕してエスに蠢く欲動を抑圧する。この段階では、まだ病気とはいえない。第二段階では、抑圧された欲動が症状を形成し、それによって現実のある部分と自我の関係がぼやけてしまう。これが神経症における現実喪失である。

 精神病の第一段階はいきなり病的過程からはじまる。自我がエスに従属し、現実のある部分を否認する。第二段階では、否認された現実を修復しようとする過程であり、幻覚や妄想によってエスの欲動にかなった新たな現実が作られる。もっともこの現実構築は、エスの思いのままになるわけではなく、最初に拒絶された現実が執拗に迫ってくるために、やはりある種の妥協の産物になる。

 「否認」という言葉は、現実を断固として拒絶するといったような強い意味で用いられ、精神病特有の過程とされる。「神経症は現実を否認せず、現実について何も知ろうとしないだけ(18-313)」であるという。

 空想という、現実との中間領域の役割も重視される。精神病では、空想を元に新たな現実が作られる。神経症では、現実の一部が象徴的な結びつきによって、空想を依託され代替的な満足を与えるようになる。
2007.12.17

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

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