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2023-05

ハルスマン裁判における医学部鑑定

ハルスマン裁判における医学部鑑定 (高田珠樹 訳 2011)
Das Fakultätsgutachten im Prozeß Halsmann (1930)

ハルスマン裁判については全集解題に詳細がある。1928年9月にユダヤ人の歯科医マードック・ハルスマンが息子と休暇先のオーストリ・アチロル地方で登山中に死亡した事件があった。当時22歳で留学中であった息子のフィリップ・ハルスマンが父親を殺害したものとして起訴され有罪判決がでた。
これに対して、反ユダヤ主義的な偏見に基づく冤罪事件ではないかと、ユダヤ人グループの中で支援と判決の取り消しを求める運動がおこった。本文章はこのような運動の中で、ウィーン大学のヨーゼフ・フプカ教授の要請に答えて執筆されたものである。

フロイトは、裁判におけるインスブルック大学医学部の鑑定がエディプスコンプレクスを恣意的に用いているものとして批判している。

エディプスコンプレクスは、まさにどこにでもあるがゆえに、犯人であるとの結論を引き出す理由としてはふさわしくない。(20-198)



有罪判決は覆らなかったが、ハルスマンは2年の拘束の後ミクラス大統領の恩赦によって出獄し、パリに移住して写真家を志し、その後アメリカにわたって肖像写真家として大成功した。

Philippe Halsman Wikipedia
Philippe Halsman Amazon
フィリップ・ハルスマンが撮影した、20世紀の超大物たち【アート】(画像83枚)

誰もがどこかで見たことあるような有名な写真もある。
また、最近もはやっているジャンプして撮影するのの元祖はこちらだったんだね。
2014.12.21

テーマ:書評 - ジャンル:本・雑誌

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