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2020-04

メーテルへの憧れ

銀河鉄道999 (8)銀河鉄道999 (8)
(1997/07)
松本 零士

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スターウォーズで思い出したのだが、その前に松本零士の「宇宙戦艦ヤマト」に熱中したことがあった。
これは初代ガンダムの放映の少し前の時期である。
テレビ放映されたヤマトは当初それほどでもなかったが、やがてじわじわ人気になり、映画化でさらに話題となって、中学生ぐらいの世代が熱中していた。
私もそのクチであったが、ヤマトをきっかけに松本零士の他の作品も読むようになった。

特に好きだったのは、やはり「銀河鉄道999」、「宇宙海賊キャプテンハーロック」、「男おいどん」や戦場のロマンシリーズ。

ところで、当時酔いしれた松本零士の世界には、今から見るとフロイト的な視点から分析したくなる要素がある。

まず、美しい女性が必ずといっていいほど登場する。それは、他の登場人物とは異なるペンタッチで描かれており、ほっそりとして、幻想的な美しさをたたえている。(当時は「そんな体型あるかよ」というような絵であったが、最近の漫画では氏の影響もあってか、非現実的にスリムな女性キャラクターというのは珍しくなくなった。)
これは、明らかに理想化された母親イメージなのである。
作品の中では、美女があからさまに性的な誘惑をしてくることもあるし、メーテルのように誘惑はほのめかし的なものにとどまることもある。

母親イメージと対になるものとして、ハーロックに代表されるような父親像も登場する。
しかし、それ以上に重要なのが、数々のかっこいいメカである。
宇宙戦艦などの未来的な乗物や、戦闘機や戦車などの実在の機械。
当時の漫画界においては、彼の描くメカのかっこよさは群を抜いてすばらしかった。いや、今でもこの点で彼を超える漫画家はいないのではないかと思う。
このかっこいいメカは、少年にとって自己愛のよりどころになるファルスを象徴する、と解釈できる。

松本零士の描くワールドは、思春期の多感な少年の心を虜にしてしまうものをたくさん含んでいた。(調べてみたわけではないが、松本零士の人気を男女別に見たら他の作家以上に男性に偏っているのではなかろうか。)
おそらく彼自身がそのような空想を抱く永遠の少年であって、それを作品に表現したのであろう。

もっとも、すばらしい芸術作品を作るためには、心に抱いた魅力的な世界を表現するための技量が必要である。
この空想と技量のバランスというのがむずかしい。
技量だけが優れていて面白みのない作品もあるし、内容が意欲的だがそれを表現しきれていない場合もある。

松本零士の作品では、作者の空想世界への思い入れがあまりに大きくて、作品としてはバランスを崩してしまう場合もしばしばあり、それがファンをやきもきさせたところでもあった。
「999」でも「ハーロック」でも、単行本の一巻が一番おもしろい。「うわー、こんなすばらしい世界があるのか!」と、期待に胸を膨らませてしまう。
しかし、最後は‥‥なんかいつのまにか連載が終わっていて、単行本の最終巻持っていないので本屋で立ち読みしたら、「えっ、こんなにあっけなく終わっていたのか」というような。(というか、終わっていないんだな、実は。だから同じ登場人物が、また別の作品に登場して話が続いていく。)

松本零士氏は今でも作品を描きつづけているようだが、残念ながら、かつてのような人気はなくなってしまった。
若い人の中には、氏の黄金時代を知らない人も多いかもしれない。
しかし、現在巷にあふれている、特にSF分野の漫画やアニメに松本零士の影響を受けていないものはない、といっても過言ではない程、彼の影響力は大きかったのだと思う。

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